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    早見あかりとももいろクローバー(4)

    <題4章 笑顔が世界を変える、あなたが未来を決める、もう止まらない!>

     2010年の夏は早見にとって映画の夏だった。7月末に7月初旬に撮影した短編映画「飛べ!コバト」の上映があり、8月は6月に撮影した「シロメ全国行脚」の舞台挨拶、8月末に「市民ポリス」の撮影があった。
     短編映画「飛べ!コバト」はSKIPシティで開催される国際映画祭で、埼玉県の “彩の国 地域発信映画プロジェクト”の一部として上映された。埼玉は内陸にあって海のない県だ。夏は川で子供達が遊ぶ美しい長瀞渓谷の川沿いの町が舞台だ。学校の仲間が川岸の5mはある岩から平気で水面に飛びこんでいく。いくら仲間から煽られても飛び込めないコバトという少年がいた。中学生になった幼なじみの翠(みどり:早見)はそんなコバトを励ますが、みどりもまた中学受験に失敗したことを乗り越えようとしていた。どうしても岩から飛び込めないコバトにみどりは自分の過去を振り切るように制服のまま岩から飛び込んでみせる。直立姿勢の早見が深い緑の水面に突き刺さる。早見はその時の撮影で「もう、死ぬかと思った」と言っていた。短編ではあるがこの映画で初めて早見は主演女優として映画という舞台に立った。

    長瀞1

     「飛べ!コバト」公開前の週にSKIPシティでライブをやった時に、早見が不意にある思いを言葉にした。トークテーマは夏バテ対策だった。MCの早見がメンバーに振ると、「ハイ!ハイ!ハイ!」とリーダーの百田が真っ先に手を上げて「アイス食べる!」と発言。「夏菜子は一年中だろ!」とメンバーからも会場からも総ツッコミされる。
    早見「この間、16歳だから大人っぽくって言ってたのにー、アイス~?」
    百田「え~ぇ、だってアイスだよ!お風呂の中でアイスとか、溶けてドロドロになるんだよー」
    佐々木「缶詰のミカンを並べて凍らせる!シロップも一緒に入れて凍らせると、とーっても美味しいのでみんなも試してみてください♪」
    早見「あーりんは何やっても可愛いよねえ、ももクロがこうやって並ぶと、他の5人はすごい可愛いのに、なんで自分がここにいるんだろう、私ここにいていいのかなって思っちゃう」

     早見の発言で場の雰囲気が変わる。観客がそんなことはないとフォローに回る展開となる。人はどんなに努力しても越えられない壁、自分の才能の無さに絶望を感じてしまう時がある。早見の場合、百田夏菜子という感情表出の天才が身近にいるだけに自分の不甲斐なさを感じたのだろう。
    「ワーみたいな、嬉しい!みたいな、この花キレイ!みたいな、そういうテンションの演技がすごい苦手で、多分、早見あかりとして生きてて、そんなに”ワー”みたいな感じの感情が、そこまで、多分ないんじゃないかな」(早見)
     ももクロのメンバーと遊んでいる時に見せる早見の笑顔は本当に楽しそうだ。ただ、その笑顔は百田のように誰にでも向けられるのではなかった。
    「相手がこっちを探り探りきてるなって思うと私も探り探り、いっちゃう」(早見)
     百田は物事を頭で理解せずに身体全体で受け止め、考え、今、自分の素直な感情ををすくいだし笑顔で表現する。百田に歌唱力があるわけではない、クセの強い歌い方は人によっては耳障りだろう、卓越したダンスセンスがあるわけでもない。ちょっとおバカで、不器用で役柄に応じて上手く演じ分けることもできない、それでも彼女が表現する感情はストレートに観客の心に届いてしまう。そうした力は個性が違うだけで高城や他のメンバーにも多かれ少なかれあった。

    早見「私、すごく反抗期が長かったんです。アイドルには歌や踊りのセンス以上に、人をキュンとさせる力というか、愛嬌が必要だと思うんですけど、私にその愛嬌がまったくなくて、それがももクロをやめた一因でもありました。当時はそんな自分への違和感を、外ズラがいいぶん家に帰ってからぶつけてしまってたんです。お母さんを傷つけるような言葉を吐いて、迷惑をかけたと思います。」

    ももクロの5月の名古屋遠征で「お母さんとケンカして『あんたなんかシャチホコになって、帰って来なくて良い』って言われた」と早見がライブの自嘲気味に近況を報告した。自分の中にくすぶり続けるアイドルである自分への違和感は家族という肉親への苛立ちに向けられ衝突した。衝突は解決を生む筈もなくアイドルであることに耐えられない感情が蓄積されていった。私はアイドルに向いていないという考えは早見にとって自明のことのように思えていた。彼女には自分の外面に対する評価と自分の内面との間に大きなギャップを感じていた。

    早見「『走るの速そう』とか。高校の初めての体育の授業で体力測定があって、新しく友だちになった子に『あかりと一緒に走りたくないよー』といわれて。でも、実際に走ったら同情の目を向けられました(笑)。中学の頃は、バレーボールで私のサーブが入るだけで、珍しいから味方も敵もみんな拍手して、ゲームが中断するという(笑)。」

     早見は素直で、無邪気で、明るいももクロのメンバーを見て愛おしさが募るほど、場違いな自分が嫌になった。
    スカパー!で8月中旬に「小中高一貫 ももえび学園」が放映された。富士の樹海をももクロメンバー5人に早見が遠隔で指令を出す予定だった。ところが収録当日、樹海は携帯の受信エリア外で連絡がとれないことがわかる。早見は東京のスタジオで携帯を眺めながら、自分は何をしにきたのだろうと反問する。一方、ももクロの5人は「まあ、いいか」と勝手に冒険を初めてしまう。5人は嬉々として遊び楽しむ。そんな風景を改めてテレビで見た時、早見はどう思っただろうか。本当に自分はももクロに必要なのかと思ったのではないか。
     早見のブログの更新頻度は6月、7月は毎日2、3回、月あたり80回を超えるペースで安定して更新していた。そのリズムが崩れるのは8月18日に「汐留博覧会2010 汐留夏の陣・夏」の収録で早見は腰を痛めた時からだ。この日から更新数が減る。急激に更新回数が増える日と更新しない日がはっきりわかれてくる。月あたりの更新回数も9月以降は半分に減り脱退の発表まで続いた。

    ブログ推移

     腰を痛めた翌日のライブで「ちゃんと踊れなかった。コルセットだと、やっぱ踊りにくいね…」と珍しく弱音を吐いている。次の日の上映の後、舞台挨拶でいつもの制服衣装で登場して自己紹介したが、早見は腰痛ということで玉井にすがりついて移動し、お辞儀も出来ない状態だった。結局、握手会の途中で気分が悪くなり退出する。この後、早見はももクロを脱退するまで腰痛から完璧に解放されることはなかった。収録ではアドレナリンがパァーと出て痛みを感じなくなるんだけど、終わるとイタタとなっちゃうと「ももえび学園」のCM動画でコメントしている。

    早見「あたし首の骨が逆に曲がってるんですよ。ストレートネックって知ってます。首の骨って普通湾曲してなきゃいけないんですけど、その首の骨がまっすぐになっていることがストレートネックっていうんですけど。それ以上に逆に湾曲してたらしくて首、肩、腰がやられちゃうんで、首が曲がっているから肩の筋肉も常に張っててー、そこから首、肩、腰ってドーンってなってて、最近は踊ることがなくなったのであれなんですけど、前は小さい頃から踊ってたんで、歩くのもきつくなったりとか、若いのになってましたね。小学4年生頃から肩こりで」

     早見は中2の秋代々木路上ライブの頃、腰をやられて整形外科に通った。ストレートネックの腰痛予防としては首周りの筋肉の強化があるがどうしても首周りが太くなってしまう。ももクロのダンスが激しくなり、一回の公演の曲数が増え、連続して踊る曲が増え続ければ、自分がももクロのスピードに追い付けない日がくることがわかりすぎる程わかっていた。歌唱力のなさをラップでカバーしようと努力した。歌のパートが削られるなかラップでやっと自分の声が出せる場ができた。だが、早見はのどが弱く1日20曲以上やると声が枯れて出なくなった。握手会で「声がでません」という札を立ててじっとしているしかなかった。
     キングレコードの移籍発表前夜と当日に早見はブログを22回更新している。キングレコード移籍・ニューシングル発表記者会見は目白セント・カタリナ教会でウェディングドレス姿で行われた。ももクロのメンバーは初めて着るウエディングドレスに高揚していた。早見はフォーマルな服装が似合う自信があったが、実際に着てみるとyはり早見だけが他の5人と違って見えた。

    ウェディング1

    早見「あれ?私15じゃなかった?笑
    まだ結婚できない歳だよね?笑
    うーん気分は25」

    ウエディング2

    早見「あかりが結婚について思ってることを書くね!
     正直、結婚願望ないわw
     いやー中3までは24に結婚したいって思ってたんだけどー
     高校生になってから変わったのよね
     なんか~子供は好きだから、ほしいんだけどー…
     結婚ってなるとね
     あかり素直じゃないからさ、よく誤解されたりー
     毎日そんなことがあると思ったら むりむり!笑
     まだ子供だから自由がいーよ自由
     ふりーだむ!!!
     大人になったらまた変わんのかね?
     気になるな、あっ、てか記者会見まだー?」(2010/8/23)

     「ももクロをやってきて思ったのは、大人は信じられないということです」と早見がよく口にした。ももクロの初期の頃のメンバーも同じ不満を持っていた。有安が加入してメンバーが固定するまで、ももクロはメンバーチャンジを頻繁に行った。百田は何度涙を流したかわからないという。メンバーの脱退発表はライブ中に曲が中断してスターウォーズの帝国の逆襲のテーマが流れされたため、この曲が流れると何が起こるのかと身構えてしまうようになった。メンバーの脱退は本人の都合もあったろうが、事務所という大人の都合が殆どだった。その決定もその場で知らされるだけだ。玉井も別のグループ(えび中)に入る予定を川上が阻止したのはよく知られている。玉井は事務所の決定に従うしかないと観念していたが、川上が一計を案じて離脱を止めた。未成年のアイドル達には選択の自由がない。特に川上が事前に知らせずに発表を知った時の生の表情を客に見せたいという志向を持っていたためメンバーの不満は大きかった。
     「シロメ」という映画はテレビ番組の収録という名目でももクロのメンバーにどっきりをしかける内容だ。早見はどっきりを仕掛ける側に回ったが、早見に知らされる内容も実際とは違っていた。母親から塩と水晶をもらって撮影に行ってきなさいと言われて現場に臨むが自分の親もドッキリのグルだった。「あー大人はこういう生き物なんだ。信じちゃいけないんだなって思いました」と早見は言う。メフィストファレスに魂を売ったファウストのように、その願いに疑問を持った者は呪われる「シロメ」という都市伝説。紅白に出たいという願いを叶えるためにリーダーの百田は「シロメ」の呪いを受けてもいいと決断する。怖さを紛らわすために歌を歌いながら「シロメ」のいる部屋に入って紅白出場を祈願して歌い踊った。本気で騙されているのでシロメの前で踊る彼女達の必死さが伝わってくる。百田の紅白に出たいという思いはももクロのメンバー共通の夢の筈だった。最後に全てがドッキリだったと告げられ安堵するメンバーに2重のドッキリがしかけられる。映画のラストでシロメの呪いを受けたかのように早見が発狂する。

    NEWS.jpg

    早見「最初から決まってたね、最初から、おっきなところが決まってて、それに向かってひとつづつのね」
    百田「それが紅白なんだよね。ももクロchanのよさをいろんな人に伝えていきたいね。
    一年の〆が紅白なんて、幸せすぎるよ。狙って行こうよ、ね、」
    早見「幸せすぎてバチがあたるかもしれないけど。まあ、大丈夫でしょう。
    神様はやさしいよ、きっと」
    百田「神様はね、越えられない壁は作らないんだよ。ねー!」
    早見「越えられる子にしか壁は与えないんだよね。だから行けます!」(2009/12/21)

     早見と百田の高校進学に対するスタンスの違いがあった。百田があくまでも浜松の実家から通うことにこだわりながらももクロの活動の自由がきく東京の私立を選んだ。早見は生活が仕事だけに染まるのが嫌だったのだろう地元の都立高校を選んだ。キャンパスライフへの淡い憧れもあったのかもしれない。

    「川上さんにUDXのイベントでトイレを止められたことは一生根に持っています。」と早見はいう。UDXシアターというのは多目的イベントシアターで会社説明会等に使用されていた。このためトイレは出演者も観客も同じものを使っていた。日に6回公演で次のイベントとイベントの間隔が15分しかなく、その15分間は100人以上の観客が並んでいる横を通ってトイレにいくしかなかった。観客も殆どが男性で見知っているファンばかりの中を一人でトイレにいくというのはかなりの勇気がいる。だから、トイレに行く時、ももクロメンバーは全員そろってトイレに行っていた。表向き口にはださなかったが中学生の女の子達にとってはつらかったに違いない。そうした状況でトークショーから早見が帰ってきて「トイレに行きたいです」と言った時に川上が「なんで、今言うんだよ。」と言われて早見が「今帰ってきたばっかです」と答えると川上から「さっき言えよ、なんでトイレなんか行くんだよ!」と怒鳴られた。そこまで言われると早見もトイレに行く気もなくなりイベントが終了するまでトイレに行かなかった。今でも思い出すと怒りが湧いてくると早見は語る。

    佐々木「夏菜子ちゃんは、言うから!ちゃんと、ここはこういう思いでこうしたとか、ここは、わたしはこうだからこう思うとかって言うから、それはほんとにすごいなって思う(笑)だって川上さんだよ、どうせ言いくるめられるんだよ、川上さんの言ってることに(笑)
     どうせさ、なんかよくわからないことで、結局納得できずに『はい』って言わなきゃいけないのに」
    百田「それがイヤなんだもん。だって、その、なんかよくわかんないことなのに『はい』って言いたくないのよ。それで3回くらい川上さんがごめんなさいって言ったことあるからね(笑)」
    早見「川上さんとは常に反抗して、頑固だから絶対折れないの。で、あっちが、『もう、じゃ、いいよ』となって折れます。色んなとこで多々ありました。でも、今まで、私、色々決断してきて、損したことないなーって」

     川上マネージャーの前でももクロのメンバーははしゃぐように悪口を言う。それだけ川上とメンバーの間には深い信頼関係があった。

    早見「私は本当に頑固で、周りの人を困らせる人間なんで、大人たちから『こうしてくれ』って言われても、『じゃ私の人生に責任持てるんですか?』って思っちゃう。それで失敗したら、私はきっとその人を責めてしまうと思うんですよ。でも自分で決めたことなら、誰のせいにもできないし、たとえ後悔しても自分で納得できるんで」

     8月の最終週は「市民ポリス」の撮影のため早見は「シロメ」全国行脚の舞台挨拶を休んだ。
    早見「最初から台本をもらって、自分の台本じゃないですか。しかも自分がヒロインというので、ワクワクするし、周りの出演者の方、すごい良い方ばっかで、緊張したんですけど、やっていく内にすごい楽しんですよね、カットがかかって、その場面OKが出た時に、なんか、緊張してたんですけど、やり終わった後はすごい楽しいんですよ。」
    初めての本格的な映画出演で台本を暗記していたにも関わらず、お守りのように台本を抱いて現場に臨んだ。そこで女優で生きていく手ごたえのようなものを早見は感じた。アイドルではなく女優という、ももクロ以外にも自分のいる場所が見つかったような気がした。
     「市民ポリス」は興行的には恵まれない映画だった。東日本大震災の直後の3月19日に映画が公開されたため早見の舞台挨拶は全て中止となった。ただ、この映画が早見の脱退後に「ウレロ☆未確認少女」というTVの仕事につながるとは、この時思ってもいなかった。
     8月末の「アイドル ユニット サマーフェスティバル2010」で12月24日に青年館ホールで単独ホールコンサートを行うことが発表された。ももクロは他流試には滅法強かったが、SKE48、スマイレージと共演して知名度の差、ダンス、歌、MC全てにおいて力の差を早見は感じた。殆ど無料ライブしかやってきていないももクロがお金をとって青年館ホールを一杯にすることができるのだろうか。経験のない早見にも、これまでのライブの企画のような思いつきレベルではお客さんを楽しませることはできないのはわかっていた。

    早見「アイドルユニットサマーフェスティバル2010おわりましたー
     すんごく楽しかった!
     いっぱいの人の前で踊るのってなんかいつもと違う気分だったな2000人って
     いつもと桁が違うからね…
     普通にファンとしてもほかのアイドルさんを見させてもらったけど
     やっぱり勉強になった!
     パフォーマンスもそうだし、トークも学ぶところがいっぱいあったのですφ(.. )
     あかりたちも負けてらんないな…
     うん頑張ろ
     みんなは見てみてどうだったかなー?
     お世辞とかじゃなく本当の感想が聞きたいです
     2010年の夏休みみんなといっぱいライブをして、
     イベントをして最高の思い出ができたよ
     みんなありがとう!」(2010/9/1 19:29)

     早見は珍しく自分のブログで読者に対して意見を聞いている。早見は今回のフェスで、ももクロと同じ時期にメジャーデビューしたスマイレージのパフォーマンスに衝撃を受けていた。2000人以上の会場をホームのように使うスマイレージの歌唱力、ダンス、MCはももクロより上だったという声が多かった。

    アイドルフェス

    早見「コメントありがとう
     このぶろぐを見てくれてるひとはももくろのファンの人が多いと思うけど……
     良い所も悪い所も書いてくれて嬉しかった!
     やっぱお客さんが見てくれた感想って次につなげるために必要だし…(´・ω・`)
     気を使って良い所ばかり書くとかじゃなく本気で答えてくれたのが嬉しかったです
     コメントにもあったけど私達メンバーも感じていた他ユニットさんとの知名度の差…
     でもそれが今回はチャンスでもあったの!
     普段私達を知らない人に見てもらえる機会だったから
     だから全力で…
     いつも以上の力を出そうと6人で頑張った!
     ももくろファンの人も盛り上げようとしてくれてたよね
     ステージで踊ってるときは楽しくて楽しくて
     みんなにも伝わればいいなって思ってたんだよ
     多分ももくろ楽しいって思ってくれた人はいたと思う…
     だけど他ユニットさんがすごすぎたよ……
     なんか私達も見ていて楽しかったしすごいって思うところがいっぱいあって!
     やっぱりまだまだ、かなわないなーって、ステージの使い方、MCのあおり方、
     その他にもいっぱいいっぱい勉強することがある、そう気付けた2日間でした。
     最初語るつもりはなかったんだけど、みんなが本気で書いてくれたから
     早見あかりも本気で
     まあとにかく
     いっこ いっこのライブを大切にしていこう!
     日本青年館がももくろのふぁんで埋めつくせるように…!」(2010/9/2 18:54)

     早見の熱い夏が終わった。今後の進路について、いつのまにか早見の中で答えが出ていた。川上マネージャーと早見は当初ももクロの未来図に共通のものを持っていた。メンバーの中で川上と一番近い位置にいてどういうライブにするか常に語りあっていたため、早見はももクロの未来図を誰よりも意識していた。

    早見「何年後になるか分からないけど、メンバーそれぞれが個人ではモデル・役者・アーティストとして活動し、6人揃ったらももいろクローバーとなる、今のSMAPのような活躍をしている自分達を見たい。」

     ただ、8月を過ぎた頃から川上とそのイメージがずれ始め早見が考えれば考える程そのずれが決定的になった。川上からすれば早見がアイドルらしくない異色性こそ早見がももクロにいる理由だった。ただ、早見にはももクロの未来図のどこを探しても自分自身の姿を見つけられなくなっていた。本当に他のアイドルグループと自分がいて戦えるのか、ダンスや歌に問題を抱え、アイドルという魅力に乏しい自分がいることで、ももクロメンバーの紅白に出たいという共通の願いを叶えられるのか。今更、歌唱力やダンスを磨いてもすぐには追いつけない。今のももクロが他のグループを凌駕できるものがあるとすれば、汗しかない!なりふり構わず汗をかく量だけが他のグループに負けていないとファンが教えてくれた。今より曲数を増やし限界まで踊ることに自分は耐えうるか。自分が足手まといになってもメンバーは自分を助けてくれるだろう。ただ、メンバー好意にすがるのは早見のプライドが許さなかった。
     早見はももクロを脱退するという結論に達することにそれほど時間はかからなかった。ただ、ももクロのメンバーやファンを裏切ることになる、それが辛かった。百田との友情が壊れることが早見には恐かった。

    百田と早見

     百田は早見の綺麗な顔が好きだった。早見がももクロにいることが百田の誇りだった。いくら強がってもクールに決めようとしても、変顔の下に時折見せる早見のやさしさと笑顔が好きだった。

    早見「今日イベントおわりで
     Kマネージャーと一緒にLaQuaいってみた
     スマイレージさんがイベントやってたでしょ!
     少しでも見れたらなーって思っていったんだけど
     何もなかった(;_;)
     悲しいから31(アイスクリーム)買って帰宅ですよー(笑)」(2010/10/3 22:15)
     
     早見は川上マネージャーと行動を共にしたとブログに書いている。早見が川上とわかるような表記で自分のブログにのせたのはこれが初めてだった。早見が無意識にももクロのファンに示そうとしたものはなんだったのだろうか。

    db6b7f56_240.jpg


    川上「ももクロを辞めたいと早見あかりから相談を受けたのは、11年春のイベント会場として中野サンプラザを押さえた後でした。2010年のいつの頃のことだっかまでは、今となってはよく憶えていません。彼女とは家の方向が一緒なので、他のメンバーより、車で送って帰る機会が多かったのですが、その車の中で言われました。正直想定外でした。何より僕はももいろクローバーはずっと6人でいくつもりで、未来の画を描いていましたから。だから話を聞いてから、ある時期までずっと引き留めようとしていました。ただ、彼女が一度決めたことは簡単に覆さないことも知っていました。早見あかりは、メンバーのうち、唯一、最初から担当したタレントでした。だからある程度のところまで導いてあげたかった。でも彼女の性格もよく分かっていました」

     川上にとって早見は自分の気持ちを一番汲み取ってくれるタレントだったのではないか。青年館のライブのために佐々木敦則というディレクターを入れ中野サンプラザまで押さえた直後だっただけに川上にとって早見の脱退報告はショックだった。

    川上「あの子達をずっと見ているとわかるんですけど、あるところから本当に自我が目覚めるんです。ただ、ももクロの場合、他のタレントさんたちよりも遅かったんですよ、それが出てくるのが。だから、本当のタレントとしての面白味はそれからでしたね。脱退した早見は、その芽生えが早かった分、ああいう形になったんだと思います。」
     
     早見あかりはピンキージョーンズツアー中の10月10日に髪を切ったことを報告している。半年以上前から髪を切りたいとマネージャーに直訴し小学校時代にショートヘアだった頃のプリクラを見せたりしてアピールしたが川上は許可しなかった。それが一転して髪を切ってもいいと川上は言った。

    早見「ももいろクローバーのために頑張っている自負がある。自分を美人だと言ってくれる人もたくさんいる。でも、自分だけは“アイドルっぽい”他の女の子たちみたいには愛されていない。髪を切ってみたり、色々と頑張ってみたけど結果はあまり変わらなかった。」

     ファンに髪を切った理由を聞かれても、気分としか早見は答えなかった。11月11日オリコンデイリーランキング(6位)が発表された直後と11月17日オリコンウイークリーランキング(8位)の発表があった日に髪を切っている。がむしゃらに走り続け止まらない筈のももクロが止まってしまうのか。
     この時のウイークリーランキングでももクロより上位にいるグループは嵐、Perfume、三代目J Soul Brothers、遊助、KARA、AKB48、Berryz工房、全て紅白に出場したことのあるグループだ。この頃のももクロにこのグループに太刀打ちできると思うメンバーは誰もいなかった。だから皆、すごい順位をもらえたと喜んでいた。ただランキング順位以上の大きな壁がそこにあった。CDの売上枚数は「行くぜっ!怪盗少女」が22.537枚、「ピンキージョーンズ」が22,936枚ほんのわずかしか伸びていない。確実にファン層が広がっているのにCDの販売枚数は伸びない。いくらファンが増えてもメンバー6人が握手できる数をこれ以上増やすことはできないからだ。早見や川上が企画してきた握手会やチョキ会は限界にきていた。早見には次どうすればいいのか検討もつかなかった。「狭く深く」から「広く浅く」への転換はそう簡単にはできない。川上は着実に次の手を打っていた。ただ、ファンの熱量が想定よりはるかに大きくなっていた。その熱量はCD購入よりももクロの全力ライブを求めていた。

    高城「脱退するって言われてから気づいたことがあって、あかりんってメンバーの中で、すごい、一番強いけど、なんか実際、本当は、ナイーブで、誰よりも傷つきやすくて、ちょっとしたことで傷ついちゃたり、落ちこんじゃったりする性格だなっていうのがわかったっていうか、なんか、そういうところを全面的に出さないのがやっぱり『あかりん』だから」

     ピンキージョーンズツアーではこれまでと違ってMCを入れる回数が増えた。ライブの流れが悪くなりファンには不評だったが早見はなるだけMCを佐々木にふろうとしていた。自分が辞めた後、MCを回せるのは佐々木だと思ったからだ。握手会も自分の短い列がはけるとマネージャーのように後片付けを手伝う早見がいた。川上に脱退の意向を伝えていたがメンバーやファンへの報告に踏み切れない。脱退は早見からの一方的な裏切りだし「無責任」、「身勝手」と言われても仕方がなかった。自分の脱退を報告する場面を何度も思い描いたが、メンバーにどう声をかければいいのかわからなかった。もう一緒に紅白に出ることはないのに百田と紅白の話をするのが嘘をついているようで心苦しく、胸がかきむしられるように心が痛んだ。握手するファンもいない握手会の空間をボーッと眺めていると知らない内に涙が流れていた。メンバーはそんな早見を気にしながらも見ないふりをしてくれた。

    早見「私自体はあまり面白くない人間ですよ。今から思うと、みんなをまとめ上げて、れにちゃんだけではないですからね、みんな無茶苦茶ですよ。好き勝手なことばっかりやってる子達をまとめるって考えたら頑張ってましたねー、あたし!(エヘ)
     あかりがリーダーだったら駄目だったなって思います、あれは。なんか、こうでなきゃいけないと思っちゃって、サブだから、少しこう力まなくていいじゃないですか。適当に好きなようにサポートしてればいいだけなんで、だからリーダーは夏菜子でよかったなーって思います。夏菜子はリーダー向きじゃないって、本当は思うんですよ。肝心なところで噛んじゃうし、でもリーダーなんですよ。なんか、わかんないけど。でも、なんか見てて楽しいだよ、夏菜子、常に笑ってて、すごい、天真爛漫的な感じで、夏菜子とは気が合うんですよ。夏菜子ってあかりにとって必要な存在になってたんですよね。もちろん他のメンバーも大切な仲間だったんですけど。リーダーとサブリーダーだということもあると思うんですけど、性格が似てるのか、足りないものを補いあえるのか、でも全てにおいて、夏菜子が赤だからプラスで、私が青だからマイナスでプラスマイナス合わせてゼロだよねーって、二人でよく言うけど。なんか、あたしがしっかりしすぎてる分、夏菜子のあの適当な感じがよかったりとか、夏菜子が、あのおバカちゃんみたいなところにあたしの突っ込みが入って、いい感じでゼロになっていたのか、それがももクロらしさだと思う。
     他のアイドルユニットさんだったら多分、そんな大事なところで噛んじゃうような子がリーダーになったりしないと思うんですけど、ももクロだからこそ、それが面白いですよね、それが、時々、すごくいいことを言うみたいなところがあって、やっぱこの子すごいなって、天才肌なんだと思う」

     ピンキージョーンズツアーファイナルは、ももいろクローバーの原点である代々木公園の野外ステージで開催された。彼女達が結成当初に路上ライブを行っていた思い出の場所である。ビラ配りをやった後で百田と早見がブラブラしていて見つけたのが代々木公園野外ステージだった。

    百田「ラジカセで、ラジカセで踊ってて、ラジカセ一本でやってる時に、歩いてて、別のところにすっごい大きなステージ見つけたの」
    早見「お祭りやってた。ヨサコイ祭りとかやってたんじゃない」
    百田「そう、それで、うわー、あそこでやりたいね、いつかあそこでやれたらいいねー、みたいなこと話してたよね」
    早見「あたしは、ももクロじゃなかったけどね」
    百田「でも、いるんだよ!」
    早見「うん、絶対いるんだよ、MCとかやってるんだよ、よくわかんないけど」

     午前中は雨が降り続けたが、ライブが始まる頃には眩しいくらいの晴天になった。
     代々木公園野外ステージには約2000人近いのファン(公称3000人)が詰めかけ、路上ライブ時代に行っていた初期衣装にネコ耳をつけて登場しミニ芝居からスタートした。

    002.jpg

     芝居は玉井がツアー最終日の不思議な体験をベースにしている。玉井が百田と高城以外のメンバーには初めて会ったという設定で話が進む。路上時代以降の記憶を失っているという設定だ。路上時代に踊っていた「冷凍みかん」、「ハズムリズム」を6人で踊った。
    玉井「あー、久しぶりに踊って歌ってすごく楽しかった。でもなんでだろ、れにちゃんと夏菜子ちゃんはともかく、3人とは今日あったばっかりなのに、なんかすごく楽しく歌うことができた。でもー、(有安を捕まえる)こんなにキビキビ動くカエルちゃんやー(佐々木をゆする)、私の妹キャラ取られちゃうんじゃないかって心配になったけど、実はしっかりしてた色っぽい最年少アイドルなんて、私知らないよ。(早見に近づく)だって、この子なんてハーフ?一か月に髪3回きるなんて、どんだけのこと、最後は坊主になっちゃうのかしら?ねぇー夏菜子ちゃん3人はどうしたの、早く会いたいよ!」
    百田「しおり!もうあの3人はいないの!むしろ、その後加わった2人も含めて5人はもういない」
    玉井「ねえー、なんでそんなさみしいこと言うの!あんなにケヤキ並木で踊ったじゃん。ビラ配ったり、肖像権だってフリーだったじゃん。写真だって撮り放題だったじゃん」
    百田「ねぇーしおり(玉井を平手打ちする)、お姉ちゃんの目を見て」
    高城「しおりん、私達は立ち止まらないの、走り続けるの!」
    百田「ここにいる6人が、そして私たちの背中をいつも押してくれてる皆さんが今なの、現実なの」
    玉井「本当だ。なんかおかしいよ。この6人とはすごく昔から一緒にいたような気がする。一つの車に無理やり押し込められて全国まわったことや、人数分あった唐揚げが気付いたら一つ無くなってて、犯人が後で自主してきたこと。そしてなにより、この6人がこのみんなの声に包まれてたこと。全部知ってる。確かに私はここにいた。みんなと一緒にここにいた!」
     初期のももクロの象徴である和装の衣装を脱ぎ捨て、新しいイメージカラーの衣装を着た6人が現れる。メンバーは立ったまま眠っている玉井を揺り起こす。
    高城「私なんて、前は大ボケがいたから影薄かっけど、今はちゃんと違うキャラで立ってるんだよ。リーダーだって変わってるんだよ。気付かないうちに、気付かないうちに全部変わってるんだよ」
     玉井が目を覚ます。
    玉井「れにちゃん、みんな、どうしたの」
    有安「詩織は今日久しぶりの代々木公園で、はしゃぎながら焼きそばを食べてたら、ノドにつまらせて気を失ったんだよ」
    早見「あーよかった、詩織が目を覚まさなかったら、私が『2番!』って(玉井のポーズを真似する)言わなきゃならなかったんだよ」(それはないとメンバーが否定する)
    玉井「これが私のツアー最後の日にあった不思議な体験です。本当によかったー。どうなることかと思った時、便利な夢オチ!だけどね、これだけは言える。ももクロchanは振り返らない。だって今いる、今ここにいるみんなが、ここにある声援が現実だもん。ももクロchanは止まらない!私達が先に倒れるか、お前らが先に倒れるか勝負だ!」
     新曲「ピンキージョーンズ」や 「行くぜっ!怪盗少女」をなどの代表曲を筆頭に会場を盛り上げる。
     ファンも掛け声で共にライブを踊り盛り上げていく。ラストはももいろクローバーが1番最初にステージで歌った曲「あの空へ向かって」で締めくくられ、2時間に及ぶライブは大歓声の中、幕を閉じた。
    玉井「路上ライブ時代、代々木公園に来る前にいつもレッスンをして来ていて、今日も皆でレッスンしてきたので初心に戻った気持ち」。
    佐々木「これからもっと思い出を作って行く」
    有安「今までよりも長い歴史を皆さんと作って行きたいです」
    百田「憧れのステージで…こんなたくさんの方とツアーファイナルを迎えられて本当にうれしくて、最初の代々木公演でビラ配りした時は本当にビラをもらってくれる方も少なかったし、見に来てくれる方も少なくて、でもあたしたちの目標が最初っから紅白歌合戦っていう大きな目標に向けて、みんながコツコツ頑張ってこれて、最後にNHKホールの目の前でこんなたくさんの方と一緒にファイナルを迎えることができて本当に良かったです。次、あの、もちろん私達はあそこ(NHKホールを指さす)のステージを目指してもっともっと大きくなってライブができた時にはもーっと後ろの方までお客さんがいて、誰が誰だかわかんないような、もっともっと大きくなれたらと思います。今回のツアー本当にありがとうございます。私達ももっと大きな夢に向かって頑張ります。ありがとうございました」
     『紅白歌合戦』出演を夢にかかげていた彼女たちはその番組収録会場NHKホールの隣の代々木公園からスタートし、野外ステージを埋め尽くした。完全無料ツアーで全18曲を踊り切った。この日のライブの模様は、インターネットで同時中継(動画配信)され、延べ1万5000人が試聴した。

    早見「ピンキージョーンズツアー終わっちゃった
     ももくろの原点、代々木公園路上ライブ
     これやってるときはメンバーじゃなかったんだよね…
     最前で体育座りして見てたわ( ゜Д゜)
     あとはメンバーがいない時にビラ配り手伝ったり~
     なんかMCやったり~
     だからあかりも代々木公園に思い出あるんだよね……
     ケヤキ並木の間をステージにしてたももくろが
     あの大きなステージで踊れるなんて、びっくりだった
     でもすごく嬉しかった
     踊ってて本当に嬉しかった(ο・ω・ο)
     なんか なんて言っていいかわからない
     だけど二ヶ月って相当早いんだなーて思ったのよ!!!
     毎週末ライブやったり握手会やったり~チェキとったり~
     早いよー(´Д`)
     でも全部、全部、思い出、そして昨日でニ周年
     二年って長いようで短かったよ(゜o゜)
     駆け抜けた感じだな…
     たくさんの思い出をありがとう
     みんな本当にありがとう
     お花やプレゼントお手紙もありがとうね
     それじゃあ、おやすみ」

     最初はインターネット配信だったがももクロの冠番組テレ朝動画「ももクロChan」が11月26日にスタートした。佐々木敦則が日本青年館のライブだけではなく「ももクロChan」ディレクターも行うことになり彼女達に密着した。12月から「アイドルちん」などメディアへの露出が急激に増えていった。彼女達の周りでカメラが回っているのが徐々に日常になった。佐々木敦則を筆頭にスタッフの一部は早見の脱退の意向を知っていた。日本青年館のホールコンサートが成功すれば、早見の考えも変わるのではと期待していた。スタッフは皆、早見に残ってほしかった。だが、佐々木敦則が1万人以上の署名が集まったら辞めないでもらえるかと聞いても早見の答えはNoだった。
     お客さんが来なくて空席ができたらブルーシートでごまかそうとメンバーが真剣に話していた「ももいろクリスマス in 日本青年館~脱皮:DAPPI~」の当日がやってきた。チケットが完売しているという実感がメンバーにはなかった。いつもその他大勢の控室だったのが、専用プレートが貼られたももクロ専用の控室があって皆感激した。全員ライブが始まる前から泣いていた。ももクロにとって初めてのホールコンサートは「走れ」から始まる。白いカーテンの向こうにももクロが影絵のように映し出され、白い幕が落ちた。メンバーはまだ泣きながら歌っていたが、百田が間奏で叫ぶ。
     「みんなー、ついに幕が開けたよー!」

    ももクリの後

     青年館のライブの成功裏に終わった。その成功は早見に脱退報告決意させた。自分がいなくてもももクロは絶対やっていけるという確信したからだし、これ以上先送りはできなかった。

    早見「私の中ではちゃんと理解できているんですけど、たしかに冷静に自分を俯瞰で見た時には『ホントにバカだね。なにやってんの?もっと楽な道あるじゃん?』って思いますもん。でも、これが私だから仕方ないやって。他人が決めた道だったら、絶対に失敗したときに、他人のせいにするんですよ。だけど自分で決めたことだから、全て自分の責任になる。もう、やるしかなくなるじゃないですか?
     ももクロを辞める時も6人でやっていた方が楽だとわかっていたんです。5人の仲間の支えがあるから、それにももいろクローバーとして有名になってから、自分の進みたい道に進んだ方が楽だとわかっていたけど、それでも一人でやっていきたいと決めたのは私だし、一人でやっていく道を作ったのも私。後悔してもしなくても自分の責任だけど、今、まったく後悔していないから」

     アポトーシスという言葉を知っているだろうか。細胞の死によって人間の身体は形作られる。手の形を作るために指の間の細胞が死んで手の輪郭を形作る。ある形を作るためには無数の細胞の死(抑止)が必要だ。夢や目標を達成するということはあるべき姿に自分を導くために無数の日常的な死によって達成できる。

    lアポトーシス


     ももいろクローバーがももいろクローバーであるために、早見あかりが早見あかりであるために、早見はももいろクローバーから自分自身を切断した。

    脱退01

    脱退02

     涙が流れた。ただ、ひたすらに涙が流れた。
     音が凍ったまま。涙は流れ続け、張りつめた空気を乱すことなく流れ続けた。


    脱退03

    早見「みんな『えっ』っていう感じで。みんな泣いているだけで何も言ってくれなくて、そこで『ふざんけんな!』とか言われたら言われたでよかったのに、もう本当に何も言われないから、どうしたらいいかわからなくて」


    脱退04

    高城「あかりんが辞めると聞いたとき、私は『ももクロは終わった』と思ったんです。今なら(百田)夏菜子ちゃんがいきなり『辞める』と言い出したくらいの衝撃でした。グループをまとめるのも、トークを回すのも、これはおかしいと指摘するのも、以前はみんなあかりんがやってくれてたから」

    脱退05

    脱退06


    早見「お互い言わなくても分かり合ってるようなところがあるから、もう、どうせばれてるんだろうなって思いながら、言おうか言うまいか迷ってて、でもこれは言う話じゃないなと思ってて、ずっと悩んでたんだけど、結局気づいてたよと言われた。あかりにメールしようとしてメール作ったんでしょ、それを送らなかったんでしょ。」

    脱退07

    夏菜子「止めたんだよ、私は、本当にわかるんですよ、特にあかりんのこととか、自分の中で思って、しゅっとかき消すような、頭の中でなかったことにしようと思ってやってたの。でもバレバレなんだよ。送信ボタンを押そうかどうか、すごく悩んで、聞いてなかったから、もしそこで本当のことを聞いちゃったら終わりだなと思って送んなかったの。聞きたくなかったんです。」


    脱退08

     会いたくて声が聞きたくて 
     携帯に手を伸ばすけど
     気持ちを悟られたくなくて 
     結局何もできないまま
     見えない明日に手を伸ばして 
     未来を描いてみたけど

     どうにもならない昨日を 
     くやんで夜が明けた
     君の胸の奥にある
     本当の気持ちを覗いてみたい

     心の示す方へ 歩き続けて行くよ 
     この選んだ道を 信じて進んでみる
     悪いこともあるし 良い事だってきっとある
     だから いつでも 笑って

     いつもキラキラ 君に逢えるから
     時に悩んだり 落ち込んだりもするけど
     悪いこともあるし 良いことだってきっとある
     この気持ちがいつか 君に届きますように
                  (『ラフスタイル』 ももいろクローバー)


    脱退09


     メンバーに脱退を報告した3日後に柏ライブ会場でライブを行った。野外ライブしてはまだ寒く、2回公演の夜の部の最後で早見の脱退を発表することを決めていた。メンバーはその時が永遠に来ないかのように明るくふるまった。寒さがます中、制服姿でChai Maxxを踊った後、リーダーの百田が「ここでももいろクローバーからファンの皆さんに重要なお知らせがあります。それでは、あかりんどうぞ」と早見にトークをふる。

    早見「私、早見あかりは、ももいろクローバーを2008年11月23日、飯田橋ラムラにて、加入して2年余りの間活動してきました。(雰囲気で察したファンからちょっと待て、ちょっと待てと声があがる)私は色々考えて考えて出した答えを皆さんに言いたいと思います。私は、早見あかりは4月をもってももいろクローバーを脱退します。一番の理由はアイドルという道よりも、他に自分にあった道があるんじゃないかって、自分で考えて、メンバーにも言わず、マネージャーさん達が決めた訳でもなく、早見あかり自身が決めたのが、私が考えて考えて出した結果が、ももいろクローバーを辞めるということでした。いきなりの発表で『ふざんけんな』という人もいるんだと思うんですけど、私は他の道で頑張っていこうと思うので、本当に応援している方には申し訳ないんですが、私はももいろクローバーを脱退します。」

    脱退10

    百田「皆さん、ありがとうございます。私たちもいろクローバーも最初聞いた時は、本当にビックリして、言葉にならないくらい、なんか、どうしようとなって、で、やっぱり今でも、ももいろクローバーは、できればあかりと一緒に6人で頑張って、紅白という大きな目標に向かって全力で行きたいという気持ちも、勿論、今、まだあります。でも、やっぱりあかりんの人生は、私たちが止めることのできないもので、あかりんも多分、こんだけ、あかりんが言うんだから、ずっと一人で悩んでたと思うし、本当に大切だからこそ、あかりんにとって一番はなんなのか、何をやってあげるのが私達にとって、あかりんに一番できることなのかっていうのを、すごい、考えました。でも、その答えがすぐ出ることはなく、私達メンバーも、どうやって、どうしたらいいのかが、はっきりわかりません。でも、あかりんが、これだけファンの皆さんの前で、私達に伝えてくれた時も全部、自分の口で言ってくれたので、それだけ、意志は強いんだなと思うし、やっぱり、あかりんのことを考えて、全力で応援してあげるのが、メンバーとして一番いいのかなって思います。」

    脱退11


     百田は最後の曲紹介をしようとして言葉が涙で出てこない。ファンの声援で何度も言葉を振り絞ろうとして身をよじる。泣いているファンがいて、百田は言おうとする度に言葉つまる。「ゆっくりでいいよー」と声援が入る。ようやく涙を飲みこみ、声を振り絞った。百田「というわけで6人の強い思いを込めた歌を聴いてください。(しばらく言葉がノドにつまる)聞いてください『ツヨクツヨク』」
     メンバーが泣いていると「笑顔でー」と声援が届く。6人が泣きながら集まり「笑顔でがんばろう」と言い合う。
    百田「一緒にやってください。出欠とります!アー ユー レディ番号!1,2、3、4、5、6、ウーイエー!」


    脱退12


     早見が脱退を報告した柏ライブ会場に早見の母親も来ていた。足繁くイベントに参加していた早見の母は半年前からももクロのイベントに顔を見せていなかった。メンバーの家族に会った時、申し訳なく、何を言っても嘘になるからなのか。この日、半年以上も続いた娘のアイドルグループからの脱退という事実に一つのピリオドが打たれた。
     早見の母親はライブ後、会場の一番後ろの席でこれまで応援してくれたファン一人一人に深々と頭を下げ続けた。

     My smile will change the world. (笑顔が世界を変える)
     You decide my future. (あなたが未来を決める)
     Can't stop. (もう止まらない!)

    脱退13

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    2015.02.24 | コメント(0) | トラックバック(0) | ももクロ

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